1. 離散数学

4. 集合と命題

1. 命題

1.1. 命題とは?

 命題は、論理学や数学、情報処理の分野で使用される基本的な概念です。命題は、「真」または「偽」のいずれかの値を持つ文や文の意味を指します。命題は、その文が「真」であるか「偽」であるかを明確に判断できるものを指します。

1.2. 命題の特徴

  1. 真偽値
     命題は、必ず真または偽のいずれかの値を持ちます。中間の値や曖昧さは存在しません。
  2. 不変性
     命題の真偽は、時間や場所、文脈によって変わることはありません。一度真偽が定まれば、それは不変です。

1.3. 命題の例

  • 「地球は丸い」:
     これは真の命題です。
  • 「2 + 3 = 6」:
     これは偽の命題です。

1.4. 命題でない例

  • 「この花はきれいだね?」:
     質問文なので、命題ではありません。
  • 「もっと速く!」:
     命令文なので、命題ではありません。

1.5. 命題の応用

 命題は、論理学や情報処理の分野で多くの応用があります。例えば、プログラミングにおける条件分岐やループの制御、論理回路の設計、命題論理の研究などで命題の概念が使用されます。

1.6. 命題論理

 命題を基にした論理学の一分野を「命題論理」と呼びます。命題論理では、命題の真偽を基にして複雑な論理式を構築し、その真偽を求めることができます。命題論理の基本的な演算には、論理和(OR)、論理積(AND)、否定(NOT)、条件(IF … THEN …)などがあります。

 命題は、真偽を持つ文の意味を指す基本的な概念であり、多くの分野でその重要性が認識されています。特に、論理的な思考や判断を行う際には、命題の理解が不可欠です。

2. 集合とベン図

2.1. 集合

2.1.1. 集合とは?

 集合とは、いくつかのものや事柄をひとまとめにしたものを指します。これらのものや事柄を「要素」と呼びます。集合は、その中に含まれる要素によって特定され、要素の順番や重複は考慮されません。要素を持たない集合を空集合 \(\varnothing\) と呼びます。

2.1.2. 集合の例

  • 数字の集合:{1, 2, 3, 4, 5}
  • 文字の集合:{A, B, C}
  • 色の集合:{赤, 青, 緑}
  • 空集合:{ }

2.1.3. ベン図

 ベン図は、19世紀の英国の論理学者ジョン・ベンによって考案された、集合やその関係性を図示する方法です。ベン図は、通常、円や楕円を用いて集合を表現し、これらの円の重なり合う部分や含まれる部分を利用して、集合間の関係(和集合、積集合、差集合など)を視覚的に示します。

 「集合A」と「数字の集合:{1, 2, 3, 4, 5}」の例を以下に示します。

2.2. 部分集合

 部分集合とは、集合Bが集合Aの含まれる(包含関係)場合を言います。\(B \subset A\)と表記します。

2.3. 和集合

 和集合とは、集合Aと集合Bの要素すべてを含む範囲を表します。(合併)\(A \cup B\)と表記します。

2.4. 積集合

 積集合とは、集合Aと集合B両方に所属する要素すべてを含む範囲を表します。(共通)\(A \cap B\)と表記します。

2.5. 差集合

 差集合とは、集合Aから集合Bに所属する要素を除いた範囲を表します。(差)\(AーB\)と表記します。

2.6. 補集合

 全体集合U(すべての要素を含む集合)においてĀ(Aの補集合)とはAに所属する要素を含まない全体集合の範囲を表します。

\(U=\bar{A} + A\)

\(\bar{A} \cap A = \varnothing\)

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